日本には、古くから多くの文化遺産があり、とくに芸術・芸能におけるものには
独特の素晴しいものが沢山残されています。私はこの事を大変、誇りに思っております。
舞踊の道を志した私にとりまして、こうした素晴しいものを残すとともに、
明日への新たなものの創造こそ、大切な事であり、それが使命かと思っております。
民族芸術を創造してゆくためには、私たち自身が今一度、心を舞踊の原点に戻して
邦楽舞踊のみならず、各地の民俗舞踊、民族音楽などの技法や、その心を学ぶことが必要だと思ってまいりました。
そして、その体験を通じて日本の舞踊のすこやかな伝承と広く人々の心を豊かにすることを念願し
、誰からも親しまれ、理解される舞踊の創造を目ざして設立したのが、菊の会でございます。
馥郁とした香りと、その品格と豊かさを兼ね備えた日本の花菊のように一人ひとりが立派に成長し、
やがては共感をもって観ていただける演技をめざしてまいりたいと思います。
今は、なにぶん技倆も未熟でございますが、いずれは社会に役立つ立派な舞踊団に成長したいと願っておりますので、
何卆、幾久しくご指導ご鞭撻の程をよろしくお願い申し上げます。
京都で生まれ、近世の名優・六代目尾上菊五郎によって創流された尾上流で、
初代尾上菊之丞について永年薫陶を受ける。
京都南座において「鏡獅子」の胡蝶で初舞台。
1955年尾上菊乃里を名乗り、家元の振付のアシスタントとして活躍。
1963年東京宝塚劇場でリサイタルを開催。
2002年(財)ポーラ伝統文化振興財団より畑道代(尾上菊乃里)が第22回伝統文化ポーラ賞優秀賞を受賞。
古典舞踊の研鑽、創作舞踊の発表、後輩の育成に尽力。
1997年より2007年まで東京新聞社主催全国舞踊コンクールに於いて弟子達35名の上位入賞を果たした。
同コンクールに於いて優秀指導者賞、みやこ賞を受賞。
2009年7月、邦楽と舞踊出版社より第6回目代清「創新賞」を受賞。
2010年東京新聞社より「舞踊芸術賞」を受賞。
2010年8月29日逝去。