にほん大通り

1996年初演

1858年6月、日米修好通商条約が結ばれ、横浜開港が決まった。



しかし、横浜村の漁民は寝耳に水。抵抗するが幕吏に追われ、悲嘆、憤怒を胸に離村する。

農耕、行商、水商売・・・・と逆境に耐えて働く若者たち。

幕吏に恋人を殺され、父親を斬られた菊は幼い妹を遠くに預け、友の富を誘って踊り子になる。
居留地は、次々入国する米・英・仏・露・中・の異人たちで賑わい、
彼らは、強大な軍事力と先進の文明を誇示して、弱腰の幕府・幕吏を恫喝し、

小躯の日本人を見下して、ときに、横暴なふるまいにおよぶ者がいる。



それに屈従、追従する者、反抗、襲撃する者などさまざまの葛藤があり、

そのなかで、菊はやまと桜の主左吉と踊りの美を顕示することで異人の蔑視をはね返そうと苦闘する。



それを讃える英国軍楽隊長とその家族たち。

菊の胸は膨らみ、離村の仲間も負けてたまるかと

異人への反発を摂取に変えて、彼らの文明を必死に学ぶ。



そうした若者たちの恩讐を越えた青春の情熱が、
自殺、流離、別離などの苦難を乗り越えて、新しい世界を切り拓いていく・・・・・。


その波瀾に富んだ時代と人間の闘いの軌跡が15景のドラマとなって展開する。

それは、横浜の土に異国の土を混ぜ入れ、踏み固めたその上に、

世界が日本に自在に行き交う大通りをつくる契機でもあった。

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