藍の女

1980年初演

作・演出/三隅治雄  舞踊構成・振付/畑道代

時は明治10年、維新も早や10年の歳月を経たが、いまだ政情は不穏の形成をのぞかせていた。
しかし、京の町では、わが世の春を謳う官吏たち。いきで美貌の芸妓・松葉は、蛤御門の争乱で家族を失い、
恋人を失って世を呪い、国を憎む気持ちになっていた。

「私はだれもしんようできない。三味線一挺抱いて流れのままに生きるのが望み・・・。」
京に来ていた藍商人・立花屋三造は時代に反発して生きる松葉の気風をみこんで、阿波へ流れるように誘う。
三造について、阿波に下ったお葉の眼に映ったものは維新の流れにのりそこねた徳島の人たちの姿であった。
藍の生産で巨利をむさぼる藍商人とその下で過酷な労働にしいたげられた農民たち。
一方。藍生産のおかげで栄える花柳界。

お葉は周りの敵意にみちた眼の中で、肝っ玉婆さんのカネから
「三味をひいても、三味だけでは越えられない人生がある」と諭される。

ちょうど盆踊りの季節。阿波の景気づけにとお葉は心よく三味線を弾くが、
その時、町では一大事件がもちあがり、運命の糸はお葉の間近にも迫ってきていた…

作品紹介

ホーム > 菊の会とは > 作品紹介